深海系
強い風が吹きつけて
焚火はゆらゆらと形を変えた
湿気た流れ木に腰かけて
ラジオでは台風が近づいているって
月の光が届かない水際
ここは夜の隅っこ
青く光る水槽の中
見たこともない姿の魚たち
深く暗い海の底に
想いをしとしとと巡らせて
水の流れに身を任せながら
忘れられた朝を待っている
強い風が吹きつけて
焚火の炎は少し小さくなった
淡い闇に波音、囁き声
吸い込まれて消えた
月の光が届かない水際
灯りにそっと火をくべて
夜が明けていく このまま
続いていくいのち
固く目を閉じる 眩しい
赤い海を泳ぐ魚になった
いのちが繋がる音を聴いた
深い海の底で
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